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 枝角目 Cradocera 

 枝角目は,一般にミジンコとよばれ,甲殻綱鰓脚(さいきゃく)亜綱に属します。鰓脚亜綱とは,「葉脚の外肢の1は鰓(えら)となり呼吸に役立つ」(「新日本動物図鑑」(北隆館)より)ところからきているようですが,私はくわしいことは知りません。鰓脚亜綱には無甲目(ホウネンエビ),背甲目(カブトエビ),貝甲目(カイエビ)および枝角目(ミジンコ)がありますが,プランクトンとして扱われるのは普通枝角目だけです。枝角目に属するものは,一般にミジンコとよばれ,淡水動物プランクトンのなかで極めて重要なグループです。
 図1および図2はミジンコの体制を示したものです。第2触角が著しく長大で,途中から内枝と外枝に分枝しており,枝角目の名はここからきています。肢は葉状で遊泳に適したようになっており,とびはねるように連続的に遊泳します。体は一部の種を除いて左右2枚の甲殻で被われ,体の後端は尾爪となります。この尾爪と後腹部の形態が種の同定にはしばしば重要になります。
 このグループは,アブラムシ(アリマキのことで,ゴキブリではありません)と同様に,単為生殖をします。すなわち,普段は雌のみがみられ,雌が単性卵を産み,世代を重ねます。図3の赤矢印で示したものが単性卵です。単性卵は育房内で孵化し,親とあまり形が変わらない仔虫になり親の体から出てきます(ノープリウス幼生を経過するものが1種だけありますが,ここではとりあげていません)。ときどき雄が出現し,有性生殖を行いますが,このとき作られる受精卵は耐久卵ともよばれ,乾燥に耐える能力をもつとのことです。図4の青矢印で示したものが受精卵です。受精卵は育房内で孵化することはありません。雄は,雌とは形がやや異なります。雄の出現はあまりみかけませんが,輪虫ほどまれではありません。ここでとりあげているものの中には雄の写真が用意できなかったものが数多くあります。なお,全く同じことが輪虫でもみられます。おそらく環境が変化しやすい淡水では有利な性質なのではないかと思われます。
 ミジンコは,淡水域には広く分布し,多くの種があり,きわめて普通に出現しますが,海洋では種類数も少なく,あまり重要ではありません。乾燥ミジンコが金魚の餌として市販されているのをみてもわかるように,淡水域では魚類の餌料として極めて重要で,ケンミジンコよりもミジンコのほうを好む魚が多いようです。種類によって湖など大きな水域を好むものと水田などの小水域を好むものとがあるようです。よくみられるものとしてはオナガミジンコ属 Diaphanosomaミジンコ属 Daphniaアオムキミジンコ属 Scapholeberisタマミジンコ属 Moinaゾウミジンコ属 Bosminaゾウミジンコモドキ属 Bosminopsisシカクミジンコ属 Alona およびマルミジンコ属 Chydorus があげられると思います。があるものが多く出現する属です。なお,ここでは,体長は頭端から殻刺を除いた殻の後端までの長さで示します。

   ・シダ属 Sida
 ・オナガミジンコ属 Diaphanosoma
   ・ホロミジンコ属 Holopedium
 ・ミジンコ属 Daphnia
 ・アオムキミジンコ属 Scapholeberis
   ・オカメミジンコ属 Simocephalus
   ・ネコゼミジンコ属 Ceriodaphnia
 ・タマミジンコ属 Moina
 ・ゾウミジンコ属 Bosmina
 ・ゾウミジンコモドキ属 Bosminopsis
   ・フトオケブカミジンコ属 Ilyocryptus
   ・ケブカミジンコモドキ属 Streblocerus 
   ・フナゾコミジンコ属 Acroperus
 ・シカクミジンコ属 Alona
 ・マルミジンコ属 Chydorus

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