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 藍藻綱 CYANOPYCEAE 

 藍藻(らんそう)は,光合成を行う藻類で,有性生殖が全く知られていないグループです。他の植物プランクトンと大きく異なる点は,藍藻が原核生物であるという点です。したがって,藍藻には核膜に包まれた核とよべる構造体はなく,葉緑体とよべる細胞内器官もみあたりません。このため,最近では細菌(バクテリア)のなかの1グループとみなされることが多く,藍色細菌またはシアノバクテリアとよばれることが多いようです。細菌の分類は,普通は外形を見ただけではだめで,代謝様式などを調べる必要があるのですが,藍藻の代謝様式は全部同じ(酸素発生型光合成)なので,分類は細胞の形,大きさ,体制などにより行われます。(最近では遺伝子解析なども使用されているようですが,素人にはできないことです。)光合成色素としては,フィコシアニン,フィコエリトリンがあり,クロロフィルはaのみをもつとのことです。色は青緑色が多いのですが,赤紫色,黄緑色のものもあります。藍藻細胞全体が,光合成真核生物の葉緑体と構造が似ており,「ラン藻という生きもの」(東京大学出版会)での表現を借りれば,ひとりで生きる葉緑体ということができます。光合成真核生物の葉緑体の起源は,藍藻かそれに近いグループが細胞内共生をしたものであるという説が有力です。また,地球の大気の形成過程において,酸素発生の中心的役割を果たしたと考えられています。
 藍藻で注目される点として,まず第1に,しばしば異常発生することです。異常発生したときは,水面に緑色の粉を一面にまぶしたような状態になり,水の華あるいはアオコとよばれます。水域が富栄養化したときに多く見られるようで,重要な環境問題の1つになっています。また,水の華が毒性をもつこともあり,その点も注目されています。第2に,窒素固定の能力をもつものが多いことです。特にヘテロシスト(異形細胞)をもつグループに顕著です。このことは,特に熱帯地方の水田では重要な働きがあると考えられており,作物学,生理学,生態学などの面からも注目されています。

 藍藻綱は,淡水プランクトンの中で重要なグループの1つで,多くの種があり,極めて普通に出現します。特にアオコが発生したときには目に付きます。浮遊性の種はしばしば偽空胞(ガス胞)とよばれるものを細胞内に多数形成し,浮遊に役立てています。偽空砲は光学顕微鏡では黒い粒に見えます。このホームページでも細胞内に微細な黒い粒が充満しているものが多数とりあげられていますが,これは偽空砲をもっているものです。プランクトンとして出現するもののほかに,底生性の種も多くあります。ここでは底生性の種も多くとりあげています。また,淡水域のほか,土壌中に発生するもの,海洋に出現するものも多くあります。(ただし,海洋プランクトンとして出現する種は多くありません。種数は少ないのですが,赤潮を形成するものがあります。)さらに,高温の温泉に出現する種も多いのも藍藻の特徴で,分布が非常に広いグループです。
 藍藻の体制は,細胞が単独で生活するものから,分枝する糸状体を形成するものまでさまざまあり,この体制の違いによって分けられます。構造が単純なので,種の同定は簡単なようにみえますが,非常に似た種が多く,区別点もあまりはっきりしないものが多いため,種の同定ができていないものが多数あります。実は,緑藻のなかにも藍藻との区別が難しいものがあり(電子顕微鏡でも使って細胞内構造を観察すればすぐにわかるのですが,安物の光学顕微鏡しかない私にとっては難問です。),どちらかはっきりしないものはこのホームページでは省略しています。

クロオコックス目 Chroococcales

プレウロカプサ目 Pleurocapsales

ノストック(ネンジュモ)目 Nostocales
 ユレモ亜目 Oscillatoriineae
 ノストック(ネンジュモ)亜目 Nostochineae
 
スティゴネマ目 Stigonematales

藍藻綱写真検索(表示に時間がかかります) 

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