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 繊毛虫綱 CILIATEA 

 単細胞動物で,細胞表面の全面もしくは一部に繊毛をもちます。原生動物のなかでは最も体制が進化したグループと考えられています。ゾウリムシなどおなじみの種もあり,実験材料としてもよく使われます。最大の特徴として,核が大核と小核の2種類に分化していることです。大核は,細胞が生活するための遺伝子発現に使われ,小核はもっぱら有性生殖のときに遺伝情報を伝えるために使われます。このことは,遺伝学,発生生物学の方面から注目されているようです。細胞は普通細胞口をもち,ここから食物を取り入れます。淡水産のものは体内に収縮胞が発達しており,これで水分を排泄して浸透圧を調節します。また,体内に緑藻 Zoochlorella を共生させているものがしばしばみられます。
 繊毛虫は,おそらく淡水プランクトンとして出現する生物の中で最も同定が難しいグループだと思います。非常に似ている種が多く,特に繊毛が細胞表面の全面に生じているものはどれもみな同じように見えます。分類に際し,最も重要なものは細胞口の形態と繊毛の生じ方です。しかし,繊毛虫は,顕微鏡下では非常に速く動き回るものが多く,中には速すぎて形をとらえることすら難しい場合もしばしばです。その上,固定すると収縮したり分解したりして,何だったのか全くわからなくなってしまいます。綿の繊維を入れると動きをやや抑えることができますが,それもあらかじめ検鏡前に繊毛虫がいることがわかっていなければならず,しかも大形のものでしかうまくいきません。したがって,細胞口の形態や繊毛の生じ方を観察することは極めて困難で,しかもそれらが観察できない場合には目レベルの同定すらできません。ここでは目レベルでの同定ができたものだけをとりあげていますが,種レベルでの同定はほとんどできていません。同定のための各種染色処理法があるのですが,ここでは全く行っていません。また,どうしても動き回るものが多いため,写真がぶれているものや,動きが止まった後で撮影したために細胞の形が変わってしまったものなどが多数あり,ここでの写真の出来は最悪といわざるを得ません。なお,繊毛虫の中には著しい伸縮性をもつものが多く,決まった長さというものがありません。そこで,ここでは写真に写った状態での長さを示すことにします。

 繊毛虫は,淡水,海洋ともに多くの種があり,極めて普通に出現します。特に有機物で汚染された水域に多く,下水処理においても重要なグループです。ここでは,強汚染水域から採集したものは含まれていません。したがって,ここでよくみられるものとしているのは,あくまでも普通の池や沼での話です。繊毛虫綱は,大きく全毛亜綱と旋毛亜綱に分けられることが多いようです。分類体系はさまざま提唱されており,特に最近は大幅に改定されていますが,最近の体系は私には難しいところがありますので,ここでは「日本淡水生物学」(北隆館)に従い,従来の体系を使用することにします。なお,淡水プランクトンとして出現しない目は省略しています。

裸口目 Gymnostomatida

毛口目 Trichostomatida

膜口目 Hymenostomatida

周毛目 Peritricha

吸管虫目 Suctorida

異毛目 Heterotrichida

少毛目 Oligotrichida

有鐘目 Tintinnida

櫛口目 Ctenostomata

下毛目 Hyporicha

繊毛虫綱写真検索(表示に時間がかかります)

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