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 輪虫綱 ROTIFELA 

 輪虫綱は,多細胞動物のなかではミジンコ(甲殻綱鰓脚亜綱枝角目)およびケンミジンコ(甲殻綱橈脚亜綱)とならび,淡水プランクトンとして最も重要なグループです。普通袋形動物門に入れられます。体が非常に小さく,頭部の先端の頭盤に繊毛が輪状に生じているため(輪虫という名前はここからきたと思いますが本当かどうかは知りません),しばしば原生動物,その中でも特に繊毛虫と間違われやすいのですが,立派な多細胞動物で,体制は結構複雑です。図1は簡単ですが,輪虫綱の体制を示したものです。ただし,内臓などは省略してあります。
 このグループは,アブラムシ(アリマキのことで,ゴキブリではありません)と同様に,単為生殖をします。すなわち,普段は雌のみがみられ,雌が単性卵を産み,世代を重ねます。しばしば単性卵を携帯しながら泳いでいるのがみられます。まれに雄が出現し,有性生殖を行いますが,このとき作られる受精卵は耐久卵ともよばれ,乾燥に耐える能力をもつとのことです。雄は,雌とは形が全く異なります。雄の出現はきわめてまれのようで,中には雄が未知のものや,全く出現しないものもあります。私も雄は見たことがなく(見逃している可能性もあります),ここでとりあげている写真は全て雌です。なお,全く同じことがミジンコ類でもみられます。おそらく環境が変化しやすい淡水では有利な性質なのではないかと思われます。
 輪虫類には硬い被甲をもつグループと,もたないグループがあります。被甲をもつグループは,その形で同定できるため比較的容易なのですが,もたないグループの同定はかなり困難です。特に固定したものは,体が収縮してしまうために一層困難になります。被甲をもたないグループの同定で最も重要なのは咀嚼板の形態で,これをみないと種の決定はもちろん,科レベルの決定すらできないことがあります。咀嚼板をはっきり観察するためには,アルカリ処理という操作が必要になりますが,ここでは全く行っていません。したがって,種の同定ができていないものがかなりあります。ただ,アルカリ処理しなくても,おおよその形はわかるので,属レベルの同定くらいは何とかなります。咀嚼板の形は大きく分けると9種ほどになるとのことです。くわしくは「新日本動物図鑑」(北隆館),「川村日本淡水生物学」(北隆館),「日本淡水動物プランクトン検索図説」(東海大学出版会)などをご覧になって下さい。

 輪虫類は,淡水プランクトンとして極めて普通に,しかも数多く出現します。また,水草の間に生活するもの,匍匐生活,固着生活をするものも多く,ここではこれらも多くとりあげています。輪虫綱は,大きく二性亜綱(卵巣1対)と単性亜綱(卵巣1個)に分けられます。二性亜綱にはヒルガタワムシ目ヒルガタワムシ科が含まれ,泥の上で匍匐生活をしています。単性亜綱は,淡水プランクトンとして出現するものの大部分が含まれます。単性亜綱の分類体系は研究者によってかなり異なるようですが,ここでは主として「川村日本淡水生物学」(北隆館)に従うことにします。

ヒルガタワムシ科 Philodinidae
ハナビワムシ科 Collothecidae
マルサヤワムシ科 Flosculariidae
テマリワムシ科 Conochilidae
ヒラタワムシ科 Testudinellidae
ミツウデワムシ科 Filiniidae
コガタワムシ科 Notommatidae
ネズミワムシ科 Trichocercidae
テングワムシ科 Dicranopholidae
スナワムシ科 Proalidae
トクリワムシ(ハラアシワムシ)科 Gastropodidae
ドロワムシ科 Synchaetidae
フクロワムシ科 Asplanchnidae
ツボワムシ科 Brachionidae

輪虫綱写真検索(表示に時間がかかります)

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