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ケンミジンコは変態をする 最初はノープリウス幼生 親と似た形のコペポディド幼生
オスの成体の見分け方 メスの成体の見分け方(その1) メスの成体の見分け方(その2)

ケンミジンコの幼生と成体


** ケンミジンコは変態をする **

 ケンミジンコは,親とは全くちがった形で卵からかえります。そして,成長の途中で形を変えて成体(おとな)になります。これを変態といいます。カエルや昆虫も親とちがった形で生まれてきて,変態をすることはみなさんも知っていると思いますが,そのほかにも変態は結構いろんな生物で見られます。ケンミジンコもその中の1つで,下の写真のように,最初は親と全く違った形のノープリウス幼生になり,何回か脱皮したあと,親と似た形のコペポディド幼生となり,何回か脱皮したあとで成体(おとな)になります。チョウの幼虫が何回か脱皮して,そのたびに大きくなっていくことはみなさんも知っていると思いますが,同じようにケンミジンコのノープリウス幼生,コペポディド幼生ともに何回か脱皮して,そのたびに少しづつ大きくなり,また少しづつ形を変えていきます。普通はノープリウスが6期,コペポディドが5期あり,その次が成体です。なお,下の3つの写真の倍率は同じではなく,種類もおそらく違うものです。

ノープリウス幼生(Nauplius)
ノープリウス幼生(Nauplius)
arrow コペポディド幼生(Copepodid)
コペポディド幼生(Copepodid)
arrow 成体
成体

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** 最初はノープリウス幼生 **

 ケンミジンコは,卵からかえると,最初にノープリウス(Nauplius)とよばれる幼生(こども)になります。ノープリウス幼生は親とは似ても似つかない形ですが,ケンミジンコに限らず,甲殻類(すなわちエビやカニの仲間)の最初はノープリウス幼生です。ただし,実際は卵の中でノープリウス幼生の時期をすませてしまうのも多く,卵からかえったときにはノープリウスとはちがう形,というのも多いのですが(ミジンコもそうです),ケンミジンコはノープリウス幼生で生まれます。体の前のほうに1対の第1触角,1対の第2触角,1対の大あごの計3対の付属肢があり,遊泳脚の役割をします。ノープリウス幼生は何回脱皮して,その過程で付属肢の数もふえてきます。また,ノープリウス幼生は最初は丸い形ですが,脱皮のたびに体が長くなってきます。ただ,親とは全く違う形なので,幼生であることはすぐにわかります。下の写真の左は初期,右は後期のノープリウス幼生です(ただし,2つの写真の倍率は同じではなく,種類もおそらく違うものです)。

ノープリウス幼生初期 ノープリウス幼生後期
ノープリウス幼生初期 ノープリウス幼生後期

 ノープリウス幼生は種類が違ってもみな似た形で,ヒゲナガケンミジンコケンミジンコ(キクロプス)ソコミジンコの区別すら(専門知識をもった人でなければ)つきません。なお,ノープリウス幼生の後期をメタノープリウス幼生(Metanauplius)とよぶことがありますが,専門知識をもった人でなければノープリウス幼生との見分けはつかないので,ここではすべてノープリウス幼生としています。

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** 親と似た形のコペポディド幼生 **

 ケンミジンコは,ノープリウス幼生の次にコペポディド(Copepodid)とよばれる幼生になります。このコペポディド幼生は,何回か(5,6回が多い)脱皮しておとなになります。コペポディド幼生は,ノープリウス幼生よりはずっと親に近い形で,ヒゲナガケンミジンコケンミジンコ(キクロプス)ソコミジンコの区別もつくようになります。このコペポディド幼生は意外に認識されておらず,親と似た形をしているものは全部成体だと誤解している人もけっこういるようです。それでも,下の図のように,初期のコペポディド幼生は親とはやや違う形で,幼生だなとわかります。左から,ヒゲナガケンミジンコケンミジンコ(キクロプス)ソコミジンコのコペポディド幼生です(ただし,3つの写真の倍率は同じではありません)。

ヒゲナガケンミジンコ
コペポディド幼生初期 ケンミジンコ(キクロプス)
コペポディド幼生初期 ソコミジンコ
コペポディド幼生初期
ヒゲナガケンミジンコ
コペポディド幼生初期
ケンミジンコ(キクロプス)
コペポディド幼生初期
ソコミジンコ
コペポディド幼生初期

 ところが,それよりあと,特に成体になる直前の幼生は,成体,特にメスの成体とほとんど同じ形で,形からは全く区別がつきません。下に,ヒゲナガケンミジンコとケンミジンコ(キクロプス)のそれぞれ同じ種(左の2つがEodiaptomus japonicus,右の2つがMesocyclops sp.)のメス成体と後期のコペポディド幼生を示します。各々の成体と幼生の写真の倍率は同じですが,ヒゲナガケンミジンコとケンミジンコ(キクロプス)の写真の倍率は異なります。

ヒゲナガケンミジンコ
コペポディド幼生後期 ヒゲナガケンミジンコ
メス:成体 ケンミジンコ(キクロプス)
コペポディド幼生後期 ケンミジンコ(キクロプス)
メス:成体
コペポディド幼生後期 メス:成体 コペポディド幼生後期 メス:成体
ヒゲナガケンミジンコ ケンミジンコ(キクロプス)

 それぞれ2つを見くらべてみればわかるように,形は全く同じと言ってよいと思います。たしかに大きさはコペポディド幼生のほうが同じ種の親より小さい場合が多いのですが,同じ種でも大きさに個体差がありますし,ケンミジンコの種類が違うと成体の大きさが異なるため,大きさから判断することも出来ません。ただ,成体だと簡単にわかる場合があります。その場合を以下に記します。

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** オスの成体の見分け方 **

  1. ヒゲナガケンミジンコ
     淡水産のヒゲナガケンミジンコは,ほとんどがディアプトムス科に属します。ディアプトムス科に属する種類のオスの成体は,右側の第1触角の中ほどが太くなります(下図左の赤矢印)。それに対し,コペポディド幼生の第1触角は同じ形です。下に,ディアプトムス科のオス成体(左)とディアプトムス科のコペポディド幼生(右)を示します。(ただし,2つの写真の倍率は同じではなく,種類もおそらく違うものです)。
    ヒゲナガケンミジンコ
(ディアプトムス科のオス:成体) ヒゲナガケンミジンコ
(ディアプトムス科のコペポディド幼生)
    ヒゲナガケンミジンコ
    (ディアプトムス科のオス:成体)
    ヒゲナガケンミジンコ
    (ディアプトムス科のコペポディド幼生)

    したがって,右と左の第1触角の形が異なるものは,コペポディド幼生ではなく,オスの成体であるとわかります。しかし,メスの成体も左右の第1触角は同じ形です。したがって,左右の第1触角の形が同じだからといって,コペポディド幼生であるとは限りません。また,ディアプトムス科に属さない種類の中には,この見分け方が使えないものがあります。したがって,ディアプトムス科に属する種が見られない海洋や,ディアプトムス科に属さない種が出てくる可能性のある河口や汽水湖(海の水が混じる湖)では,この見分け方は使えません。

  2. ケンミジンコ(キクロプス)
     淡水産のケンミジンコ(キクロプス)は,ほとんどがキクロプス科に属します。キクロプス科に属する種類のオスの成体は,第1触角が,中ほどから折れ曲がります(下図左の赤矢印)。それに対して,コペポディド幼生は,左右の第1触角は普通の形で,折れ曲がりません。下に,キクロプス科のオス成体(左)とキクロプス科のコペポディド幼生(右)を示します。(ただし,2つの写真の倍率は同じではなく,種類もおそらく違うものです)。
    ケンミジンコ(キクロプス)
(キクロプス科のオス:成体) ケンミジンコ(キクロプス)
(キクロプス科のコペポディド幼生)
    ケンミジンコ(キクロプス)
    (キクロプス科のオス:成体)
    ケンミジンコ(キクロプス)
    (キクロプス科コペポディド幼生)

    したがって,第1触角が折れ曲がるものは,コペポディド幼生ではなく,オスの成体であるとわかります。しかし,メスの成体も第1触角は普通の形です。したがって,第1触角が普通の形だからといって,コペポディド幼生であるとは限りません。また,キクロプス科に属さない種類の中には,この見分け方が使えないものがあります。したがって,キクロプス科に属する種が見られない海洋や,キクロプス科に属さない種が出てくる可能性のある河口や汽水湖(海の水が混じる湖)では,この見分け方は使えません。

  3. ソコミジンコ
     ソコミジンコに属する種類は多く,その中にはオスの成体の第1触角が折れ曲がるものもありますが,コペポディド幼生と同じ普通の形のものもあります。したがって,触角から見分けることは出来ません。オスの成体とコペポディド幼生,特におとなになる直前の幼生との区別はとても難しく,かなりの知識がないとちょっと無理だと思います。

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** メスの成体の見分け方(その1) **

 ヒゲナガケンミジンコケンミジンコ(キクロプス)ソコミジンコのいずれも,メスの成体とコペポディド幼生の第1触角の形は同じです。したがって,触角から見分けることは出来ません。しかし,しばしばメスの成体は卵塊を体につけていることがあります。コペポディド幼生は卵塊を体につけることはないので,卵塊を持っているものは,コペポディド幼生ではなく,メスの成体であることがわかります。しかし,メスの成体が必ず卵を持っているわけではありません。卵を持っていないメスの成体とコペポディド幼生,特におとなになる直前の幼生との区別はかなりむずかしいと思いますので,わからないままでよいでしょう。下に,ヒゲナガケンミジンコとケンミジンコ(キクロプス)の卵塊(下図の赤矢印)を持ったメスの成体を示します。2つの写真の倍率は異なります。

ヒゲナガケンミジンコ
メス:成体 ケンミジンコ(キクロプス)
メス:成体
ヒゲナガケンミジンコ
メス:成体
ケンミジンコ(キクロプス)
メス:成体

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** メスの成体の見分け方(その2) **

 しかし,それじゃ不満だという人のために,ディアプトムス科,およびキクロプス科におけるメス成体とコペポディド幼生の区別法を少しだけ記しておきましょう。

 ディアプトムス科は第5胸脚の形で見分けます。下の写真の左はディアプトムス科に属する Eodiaptomus japonicus のメス成体の第5胸脚,右はコペポディド幼生(種不明)の第5胸脚です。コペポディド幼生の第5胸脚は未発達で,特に先端のとがった剣状刺がないのがわかると思います。

ディアプトムス科のメス成体
第5胸脚 ディアプトムス科のコペポディド幼生
第5胸脚
ディアプトムス科のメス成体
第5胸脚
ディアプトムス科のコペポディド幼生
第5胸脚

 キクロプス科は貯精嚢の有無で見分けます。貯精嚢はメスの成体だけにあり,コペポディド幼生にはありません。貯精嚢は体後部腹面の前のほうにあります。下の写真はキクロプス科に属する Macrocyclops fuscus のメス成体の体後部腹面で,赤矢印が貯精嚢です。なお,貯精嚢の形態は種の同定のためには絶対必要な観察事項の1つです。

キクロプス科のメス成体,体後部腹面
キクロプス科のメス成体,体後部腹面

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