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ディアプトムス科の属の同定 キクロプス科の属の同定

ケンミジンコの属の同定

 ケンミジンコは属の同定すら難しく,ここではヒゲナガケンミジンコ,ケンミジンコ(キクロプス),ソコミジンコの3つに分けるにとどめています。しかし,それでは不満だ,という人のために,淡水産のヒゲナガケンミジンコの大部分を占めるディアプトムス科,および淡水産のケンミジンコ(キクロプス)の大部分を占めるキクロプス科の属の同定について簡単に記したいと思います。はじめに注意しておきますが,ディアプトムス科,キクロプス科に属さないものについてはここでのやり方は使えません。したがって,ディアプトムス科,キクロプス科に属さないものが出てくる海洋,河口,汽水湖ではこの区別法は使えません。なお,ソコミジンコの分類は非常に難しく,私もよくわからないのでここでは省略します。なお,他のページと同じように,はとても普通に見られるもの,はやや普通に見られるもの,はあまり普通でないもの,×は極めて珍しいものを表します。


** ディアプトムス科の属の同定 **

 淡水産のヒゲナガケンミジンコの大部分を占めるディアプトムス科の属の同定は,オスの成体の右側第1触角の先端部および第5胸脚の形態で行います。なお,日本でみられるのが1種だけという属が多く,属がわかれば種までわかるものが結構あります。なお,メスの成体でも第5胸脚の形で区別できますが,オスと違って各属の特徴がはっきりせず,メスでの同定はかなり困難ですので,ここでは省略します。

ディアプトムス科 オス:成体
図1:ディアプトムス科 オス:成体
 図1はディアプトムス科に属する Sinodiaptomus valkanovi のオス成体です。赤矢印が第5胸脚で,第5胸脚は体前部のいちばん後ろの腹面にあります。また,青矢印は右側第1触角の先端部です。ただし,ここで注意すべきことがあります。「右側第1触角」といった場合の「右」とは,ヒゲナガケンミジンコ自身の右です。したがって,「右側第1触角」は,背中側から見た場合には右側に見えますが,腹側から見た場合には反対に左側に見えます。また,第5胸脚も左右逆に見えます。

ディアプトムス科のオス成体,第5胸脚
図2:ディアプトムス科のオス成体,第5胸脚
 図2はディアプトムス科に属する Eodiaptomus japonicus のオス成体の第5胸脚で,左右非対称です。ただ,腹側から見ると図2の写真とは左右逆に見えますので注意してください。この第5胸脚の中で特に重要なのが右側の外肢末節にある外側刺(図2の赤矢印)の形態と生じている位置です。下に手元に写真がある3つの属について特徴を記します。日本ではディアプトムス科の中に他にもいくつか属があるのですが,手元に写真がないので省略します。

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○アカントディアプトムス属 Acanthodiaptomus
アカントディアプトムス,オス第5胸脚右側外肢末節 アカントディアプトムス,オス右側第1触角先端部
図3a:アカントディアプトムス,オス第5胸脚右側外肢末節 図3b:アカントディアプトムス,オス右側第1触角先端部

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○シノディアプトムス属 Sinodiaptomus
シノディアプトムス,オス第5胸脚右側外肢末節 シノディアプトムス,オス右側第1触角先端部
図4a:シノディアプトムス,オス第5胸脚右側外肢末節 図4b:シノディアプトムス,オス右側第1触角先端部

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◎エオディアプトムス属 Eodiaptomus
エオディアプトムス,オス第5胸脚右側外肢末節 エオディアプトムス,オス右側第1触角先端部
図5a:エオディアプトムス,オス第5胸脚右側外肢末節 図5b:エオディアプトムス,オス右側第1触角先端部

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** キクロプス科の属の同定 **

 淡水産のケンミジンコ(キクロプス)の大部分を占めるキクロプス科の属の同定は,主に成体の第5胸脚の形態で行います。第5胸脚の形態が互いに同じ属がいくつかありますが,その場合にはメスの成体の尾叉の形態で区別します。種の同定はメスの成体で行いますが,残念ながら非常に難しく,専門知識をもった人でなければできません。なお,以下の記述は主として,石田昭夫著:日本産淡水ケンミジンコ図譜(日本生物地理学会報57)を参考にしましたが,一部他の文献も参考にしました。

キクロプス科,体後部の基部腹面
図6:キクロプス科,体後部の基部腹面
 図6はキクロプス科の体後部の基部(前のほう)を腹側から見たもので,第5胸脚は第5胸節,すなわち体後部のいちばん前の節にあります。図6の赤矢印が第5胸脚ですが,見ればわかるように非常に小さく,観察しにくいです。特に,他の脚がおおいかぶさっているときは見つけるのがかなり困難です。確実に見るには解剖が必要ですが,初心者向きではありません。どうしても見つからないときは残念ですが,あきらめましょう。なお,コペポディド幼生は,第5胸脚の形が成体と違っている場合が多いです。決してコペポディド幼生で属の同定をしてはいけません。必ず成体で行ってください。キクロプス科の成体とコペポディド幼生の区別はケンミジンコの幼生と成体を参照してください。

・・ キクロプス科の属の検索 ・・
 第5胸脚がうまく見つかったら,属の同定をしてみましょう。まず重要なのは,節の数(青数字)です。下の図7のAのように1節のみか,B,Cのように2節あるかを見ます。次に,末節の付属刺の数(赤数字)を見ます。そして,もし第5胸脚の形態がCのように,2節からなり,末節の付属刺の数が2本の場合には,内側の付属刺(Cの1)の長さと生じている位置が重要になります。以下で具体的に属の検索をしてみましょう。当てはまるものをクリックしていって下さい。

キクロプス科,第5胸脚
図7:キクロプス科,第5胸脚

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○ユーキクロプス属 Eucyclops
ユーキクロプス,第5胸脚 ユーキクロプス,尾叉(メス) ユーキクロプス,尾叉の一部(メス)
図8a:ユーキクロプス,第5胸脚 図8b:ユーキクロプス,尾叉(メス) 図8c:ユーキクロプス,尾叉の一部(メス)

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△パラキクロプス属 Paracyclops


○トロポキクロプス属 Tropocyclops
トロポキクロプス 第5胸脚 トロポキクロプス 尾叉
図9a:トロポキクロプス,第5胸脚 図9b:トロポキクロプス,尾叉

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○マクロキクロプス属 Macrocyclops
マクロキクロプス,第5胸脚
  • 第5胸脚は2節からなり,末節の付属刺は3本あります(図10)。
  • 日本では Macrocyclops fuscus および Macrocyclops albidus という2種が普通に見られます。区別はちょっと難しいですが,他の属よりはやや容易です。いずれの種も大形で,2mm前後が多いです。
図10:マクロキクロプス,第5胸脚

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◎キクロプス属 Cyclops
キクロプス,第5胸脚 キクロプス,尾叉(メス) キクロプス,尾叉の一部(メス)
図11a:キクロプス,第5胸脚 図11b:キクロプス,尾叉(メス) 図11c:キクロプス,尾叉の一部(メス)

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×メガキクロプス属 Megacyclops


×アカンソキクロプス属 Acanthocyclops
アカンソキクロプス,第5胸脚
  • 第5胸脚は2節からなり,末節の付属刺は2本あります(図12)。
  • 第5胸脚末節の内側の付属刺は末節の先端付近から生じます(図12の青矢印)。第5胸脚末節の内側の付属刺は極めて短く,第5胸脚末節の長さよりずっと短いです。
  • 日本では何種類か見つかっていますが,地下水産の種が多いです。地表水でも何種類か見つかっていますが,種の区別は非常に難しいです。この属はまれで,めったに見つかりません。
図12:アカンソキクロプス,第5胸脚

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×ディアキクロプス属 Diacyclops
ディアキクロプス 第5胸脚
  • 第5胸脚は2節からなり,末節の付属刺は2本あります(図13)。
  • 第5胸脚末節の内側の付属刺は末節の先端付近から生じます(図13の青矢印)。第5胸脚末節の内側の付属刺はそれほど短くなく,外刺よりはずっと短いですが,第5胸脚末節の長さと同じくらいかやや短いです。
  • 日本ではかなり多くの種類か見つかっていますが,地下水産の種が多いです。地表水でも何種類か見つかっていますが,種の区別は非常に難しいです。この属はまれで,めったに見つかりません。
図13:ディアキクロプス,第5胸脚

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◎メソキクロプス属 Mesocyclops
メソキクロプス,第5胸脚 メソキクロプス,第1触角末節(メス)
図14a:メソキクロプス,第5胸脚 図14b:メソキクロプス,第1触角末節(メス)

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◎テルモキクロプス属 Thermocyclops
テルモキクロプス,第5胸脚
  • 第5胸脚は2節からなり,末節の付属刺は2本あります(図15)。
  • 第5胸脚末節の内側の付属刺は末節の先端付近から生じます(図15の青矢印)。第5胸脚末節の内側の付属刺は長く,外刺の長さと同じくらいあります。
  • 日本ではいくつかの種類か見つかっています。その中で,Thermocyclops crassus(従来 Thermocyclops hyalinus とされてきたもの)という種は極めて普通に見られる重要種です。この種は1mm以下で,小形です。また,普通に見られるものにもう1種 Termocyclops taihokuensis があり,特に南日本では極めて普通種のようです。ほかにもいくつか種が確認されていますが,種の区別は難しいです。
図15:テルモキクロプス,第5胸脚

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△エクトキクロプス属 Ectocyclops
エクトキクロプス,第5胸脚
  • 第5胸脚は1節のみで,第5胸節と融合します。第5胸脚には3本の付属刺があります(図16の赤矢印)。
  • 日本では,Ectocyclops phaleratus という1種が見つかっています。この種は体が背腹に扁平で,キクロプス科のほかの種類とはちょっと違った形です。底生性で,それほど珍しいわけではありませんが,プランクトンネットにはあまり入ってきません。なお,この種はソコミジンコのハルパクティクス科に属するものと形が似ていますが,第5胸脚の違いで区別できます。
図16:エクトキクロプス,第5胸脚

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△ミクロキクロプス属 Microcyclops
ミクロキクロプス,第5胸脚
  • 第5胸脚は2節からなりますが,第5胸脚の基節と第5胸節が融合します。融合した基節には太い1本の付属刺(図17の赤矢印)があります。末節(図17の青矢印)には2本の付属刺がありますが,内側の付属刺は痕跡的で,ほとんどわかりません。
  • 日本では,いくつかの種が見つかっていますが,種の区別はきわめて難しいです。いずれの種も1mm未満で,小形です。この属はあまり多くは見られません。
図17:ミクロキクロプス,第5胸脚

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 上にあげた属の中で,ユーキクロプス属(Eucyclops)の尾叉ののこぎり状棘列,キクロプス属(Cyclops)の尾叉の隆起,およびメソキクロプス属(Mesocyclops)の第1触角末節の透明膜の欠刻はそれぞれの属特有のもので,第5胸脚を観察しなくても属の同定が出来ます。また,上にあげた属の他にも,キクロプス科に入る属が日本で見つかっていますが,いずれも汽水産もしくは地下水産,もしくは極めてまれな属なので,ここでは省略します。

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