ライオン株式会社による悪質でお粗末、かつ疑惑に満ちた画像無断転載について


 はじめに,ひとつおことわりしておかなければなりませんが,ここで記している「ライオン株式会社」は,言うまでもなく,日本人で知らない人はほとんどいないと思われる,ハミガキや洗剤などの分野の大手企業の,あのライオンのことです。社名に「ライオン」の4文字が含まれる,ライオン株式会社とは無関係の会社は,株式会社ライオン事務器,ライオン菓子株式会社など全国的に名前の知られている会社を含め多数ありますが,以下に述べる無断転載には一切関係ありません。混同する方はまずいないとは思いますが,念のためにここに記しておきます。
平成26年7月6日
ライオン株式会社(本社:東京都墨田区本所1-3-7,代表取締役社長:濱逸夫−会社概要より)は,自身のサイト内のpdfファイル
http://www.lion.co.jp/ja/csr/content/000174736.pdff
において,本サイトのミジンコ(ダフニア)から以下の画像を無断転載しています。

無断転載

下の画像は,無断転載した箇所を抜粋引用したものです。黒い長方形のところは,私が撮影したものでない写真が載っているため,ここにそのまま載せることはできません。

無断転載
 これは自社サイト上での転載,すなわち明らかに営利目的無断転載であり,しかも画像の出典を全く記さないという,極めて悪質、かつ厚顔無恥な無断転載です。その上,ライオン株式会社は,他の著作権は平然と無視しているにもかかわらず,このページで,自分たちの著作権は声高に主張しています。のみならず,無断転載画像の出典を全く記していませんから,他から盗んできたものにまで自分たちの権利を主張しているということになります。まさにあつかましいことこの上ないとしか言いようがありません。私は,今までも営利を目的とした会社などによる無断転載に多数遭遇してきましたが,いずれも無断転載を発見したことにより初めて存在を知った会社ばかりでした。ところが,今回の無断転載は誰もが知っている超有名大企業によるものです。有名大企業までがこんな恥知らずのコソ泥行為を平然と行うとは,まったく情けない限りであり,失望の極みです。私は今までライオン株式会社には特に悪い印象は持っていませんでしたが,今回の無断転載の発見で,いっぺんに大嫌いな会社になってしまったことは言うまでもありません。

 しかもこの無断転載は,単に超有名大企業が恥知らずの違法コソ泥行為を行った,ということだけにとどまりません。この無断転載には重大な疑惑を感じざるを得ない点があります。無断転載がなされた問題のpdfファイルは,ライオン株式会社のサイト内にあるこのページによれば,2012年3月14〜16日に東洋大学・白山第2キャンパスで開催された第46回日本水環境学会年会において,ライオン株式会社が行った『パームヤシ油由来の界面活性剤の環境実態調査および生態リスク評価』というポスター発表で使われたポスターをそのままpdfファイルにしたもののようです。この無断転載の箇所をもう少し範囲を広げて引用します。表には具体的な数字が載っているのですが,そのまま載せるのは違法行為になる可能性があるのでここでは伏せておきます。
無断転載
ここで少し表の説明をしておきます。MES,MEEは,いずれもパームヤシ由来の界面活性剤です。OECD201,OECD202などとあるのは,OECD(経済協力開発機構)が定めた,生態毒性試験のガイドラインのことですが,実は私は詳しいことは知りません。Oryzias latipesはメダカのことです。Daphnia magnaはミジンコの1種で,オオミジンコという和名がついています。Pseudokirchneriella subcapitataは微小緑藻の1種で以前はセレナストルム属(Selenastrum)に入れられていました。いずれもOECD推奨の,生態毒性試験によく使われる生物です。

 さて,問題はここからです。ミジンコの写真の上にある黒い長方形のところには,確かにヒメダカ(観賞用に品種改良されたメダカ)と思われる写真が載っています。ということは,当然その下のミジンコの写真は,Daphnia magnaの写真,ということになるはずです。ところが,写真のミジンコはDaphnia magnaではありません。私はこのミジンコをDaphnia longispinaと同定したんですが,Daphnia longispina自体がかなり問題のある種で,本当に正しいかどうかは実は自信がありません。しかし,Daphnia magnaでない可能性は100%,絶対の自信を持って断言できます。Daphnia magnaは元々は日本には分布していない種で,また,日本では野外での定着は困難らしく,今まで野外で採集されたことはほんの数回しかないようです。したがって残念ながら本サイトには写真が載っていません。しかし,幸いなことにDaphnia magnaは実験によく使われるため,ネット上でもDaphnia magnaの写真は多数公開されていますのでぜひ「Daphnia magna」で画像検索してください。一番わかりやすいのは,殻刺とよばれる殻の後端部の刺が,Daphnia magnaでは無断転載された写真のミジンコのように長くはならないということですが,おそらく全体や頭部の形などもだいぶ違う,という印象をもたれると思います。これは,たとえていえば,「ノコギリクワガタの写真」のはずなのに,実際にはミヤマクワガタの写真が載っているようなもので,実におかしなことです。ここから,私は重大な疑惑を感じざるを得ません。それは,彼らはDaphnia magnaを使った生態毒性試験を実際には行っていないのではないかということです。彼らが実際に生態毒性試験を行っているのなら,当然試験に使った生物写真は記録として撮影してあるのが普通です。もし写真を撮っていなくて,どこからか写真をくすねて無断転載しようなどという良からぬ考えを持ったとしても,彼らが本当に生態毒性試験を行っているのなら,当然Daphnia magnaを実際に詳しく観察して姿かたちが頭に入っているはずであり,それと明らかに形態の違うミジンコの写真を無断転載するなどということはちょっと考えられないことです。しかも,問題のポスターが使われたのは日本水環境学会の年会です。一般向けの講演会なら,どうせシロウトにはわからんだろうということで,適当な写真でごまかそうということはあるかもしれませんが,専門家が集まるところでそんなごまかしは危険でできないはずです。仮に,彼らがポスター制作業者にポスター制作を丸投げし,業者が無断転載を行ったとしても(あくまでも仮定の話で,それにその場合であっても無断転載の全責任はライオン株式会社にあります),彼らが本当に生態毒性試験を行っているのなら当然写真が変だということに気づくはずです。研究者が1人だけなら(可能性はごくわずかですが)うっかり見逃した,ということもあるかもしれませんが,この研究には実に5人もの名前が挙がっています。よって5人もいて誰も気づかない,などということは考えられない話です。どう考えても,彼らは実際にはDaphnia magnaをはじめ,ミジンコ類を全く見たことがなく,ミジンコの知識も皆無に近いため,ミジンコはみんな同じだろうという浅はかな考えの下,画像検索などで見つけたミジンコの写真を無造作に載せた,としか思えません。彼らは生態毒性試験を全く行わず,自分たちに都合のいい,すなわちパームヤシ由来の界面活性剤の毒性が低いという数字をでっち上げたのではないかという疑惑を私は強く持たざるを得ません。もしかしたら生態毒性試験は外部検査機関に丸投げしており,数字そのものはインチキではない,という可能性も考えられますが,その場合は当然どこの検査機関でやってもらったか明記されるはずです。しかし,そのような記述は一切なく,「第45回日本水環境学会年会講演集」にも自分たちでやったとはっきり書かれています。もし他でやってもらったにもかかわらず,自分たちでやったとウソをついているのなら,これもまた研究者としてはあるまじきことであり,絶対に許されることではありません。

 この推測をさらに強力に後押しするのが,ミジンコの写真の下にある写真です。私が撮影した写真ではないためここに載せることはできませんが,実はこれも彼らのオリジナルの写真ではなく,おそらくこれも無断転載でしょう。オリジナルは,原生生物情報サーバ内の,このページにある写真です。さて,問題のpdfファイルでは,当然Pseudokirchneriella subcapitataの写真,ということになるはずですが,これは明らかにミカヅキモ属(Closterium)に属する藻類の写真であり,断じてPseudokirchneriella subcapitataではありません。もちろん原生生物情報サーバにおいても,ミカヅキモ属の1種のClosterium moniliferumと同定されています。Pseudokirchneriella subcapitataも日本ではほとんど見られない種でのようで,これも残念ながら本サイトには写真がありません。しかし,Pseudokirchneriella subcapitataDaphnia magna同様,実験によく使われるため,ネット上でも,住化テクノサービス株式会社のサイト内のこのページにある写真など,Pseudokirchneriella subcapitataの写真も多数公開されていますので,ぜひ見ていただきたいのですが,見れは一目瞭然,Pseudokirchneriella subcapitataは,pdfファイルに転載されたミカヅキモとは似ても似つかない,まるっきり細胞の形が異なる藻類であることが誰の目にもはっきりわかります。しかも,ClosteriumPseudokirchneriellaは分類学的に見てもかなりかけ離れており,いわば「ノコギリクワガタの写真」のはずが実際にはアメリカザリガニの写真が載っているような,それくらいトンチンカンでばかげた(おそらく無断)転載です。日本食品分析センターのサイト内にあるpdfファイル
http://www.jfrl.or.jp/item/files/seitai_04.pdf
に,微小藻類を用いた試験のやり方が図示されていますが,当然のことながら,試験の中には顕微鏡下での形態観察も含まれています。したがって,もし彼らが本当にPseudokirchneriella subcapitataを使った生態毒性試験を行っているのなら,当然細胞の形は直接見て知っているはずであり,一度でも見ていれば,まるっきり形が異なるミカヅキモの写真を載せるなどということは絶対にやらないはずです。まさにこれは,彼らが実際には生態毒性試験をやっていないのではないか,という重大疑惑をミジンコ以上に強力に後押しするものであり,決定的証拠になると私には思えてなりません。それにしても,彼らはなぜこんなバカ丸出しみたいなことをやったのでしょうか。Pseudokirchneriella subcapitataの細胞が三日月形だ,ということをどこからか聞きつけて,三日月形の藻類の写真,すなわちミカヅキモの写真を見つけてきて載せたんでしょうか。それともPseudokirchneriella subcapitataが以前属していたセレナストルム属(Selenastrum)に「ムレミカヅキモ」という和名がつけられることがあるんですが,それからミカヅキモの類だろうと思ったんでしょうか。いずれもちょっと無理がある推測で,本当の理由は私にはまったくわかりませんが,いずれにせよ彼らにはPseudokirchneriella subcapitataをはじめとする微小藻類の知識はほぼ皆無であろうことは間違いないでしょう。

 以上,今回のライオン株式会社による無断転載は,あまりにお粗末でばかげたものであり,発見したときにはあまりのばかばかしさに思わず笑ってしまいました。ライオン株式会社のサイト内にあるこのページの一番下の写真では,主任研究員とやらがこの無断転載おバカポスターの前で得意げに(と私には見える)説明している様子が写されていますが,実に滑稽な写真としか言いようがありません。この写真で説明を受けている方がお気づきになられたかどうかはわかりませんが,ポスターに載っている写真が変だ,ということにはおそらく大勢の方が気づかれたであろうと思います。もし私がその場にいたら(無断転載の被害者でなかったとしても)ポスターの写真変じゃないですか,と追及するところですが,ライオン株式会社がこの無断転載ポスターを堂々とネット上で公開しているところをみると,おそらく誰もツッコミを入れなかったんでしょう。ライオン株式会社の研究者に大恥かかせるのは気の毒だと思われたんでしょうか。それとも,(これは私の下衆の勘繰りであってほしい)ライオンが水環境学会の有力スポンサーだから追及するのはタブーだ,という暗黙の了解のようなものがあったんでしょうか。この点も私にはちょっと不可思議なことです。あきれたことに,ライオン株式会社は,水環境学会において学生の優れたポスター発表を表彰する「ライオン賞」なるものを設けているとのことですが,まさに笑止千万,肝心のライオン株式会社がこんな恥知らずのおバカコソ泥ポスターを出しているようでは話になりません。ライオン賞を受賞された学生さんはもちろん,応募された学生さんたちも,この事実を知ったらどんなにか失望するか想像に難くありません。「淡水プランクトンのページ」は実にちっぽけで出来のよくないサイトであり,ネット全体から見れば無に等しい存在です。にもかかわらず,今回のライオン株式会社の研究者以外にも,私は大学等の研究者による無断転載に何度も遭遇しています。ここから間違いなく言えることは,研究者による無断転載,論文盗用などの不正は,全体としてみれば実におびただしい数にのぼるであろうということです。理化学研究所でのSTAP細胞騒動,ノバルティス社による臨床研究不正事件など,研究者のモラルが問われる事件が最近多く報道されていますが,研究者のモラル崩壊は一般に思われているより遥かに深刻で,とてつもなく根深いものがあると私は思わざるを得ません。

参考リンク
ソックリ広告博物館
公的機関・公益法人・有名企業といった,特に高い倫理と社会的責任が強く求められる組織によるイラスト著作権侵害事例を集めたサイトで,必見です。これが日本の責任ある組織の著作権意識の実体か,とびっくりさせられます。


平成26年10月27日
 ライオン株式会社に,この無断転載とそれに伴う疑惑について問いただしてみました。その結果,無断転載pdfファイルは削除され,主任研究員がポスターの前で説明している様子が写されている写真も削除されました。が,肝心の疑惑については今のところ何の回答もありません。私はこの件についてこの抗議文だけを載せ,ライオン側には何も連絡せずしばらくそのままにしておきました。それは抗議文をここに載せる前にまずライオン側に抗議メールを出したら,さっさと無断転載pdfファイルだけを削除して,あとは知らん顔を決め込む可能性があると思ったからですが,やはり予想通りだったようです。改めて私の疑惑を問いただすメールを送ってみますが,はたしてライオン側はどう出てくるのか,注視したいと思います。
平成26年12月14日
 やはり,ライオン株式会社からの回答は全くありませんでした。私がライオン株式会社に求めたのは,決して「画像使用料として10万円払え」などといったばかげたことではなく,なぜこのような愚かな行為に至ったのか,その理由や経緯についての無断転載の当事者からの直接の説明,ただそれだけのことです。ライオン側に誠意があればすぐにでもできるはずだし,当然やるベきことと思いますが,ライオン株式会社は完全無視を決め込んでいます。このことから,口先では「お客様のことを最もわかる企業」などとほざいていても,その実は非力な一般個人などゴミ同然にしか思っていない思い上がった態度がライオン株式会社にはっきりと見て取れます。同時に,上に記した私の疑惑,すなわち,彼らが行ったとしている生態毒性試験は,実は全くのインチキではないかという疑惑はやはり真実であった可能性がいっそう高まった,このことははっきりと言えると思います。
 しかも,このことは,単にライオン株式会社が傲慢で不誠実だというだけにとどまらず,より重大な疑惑を感じざるを得ません下の図は,問題の無断転載ポスターの冒頭部部分ですが,ここに名前の出ている5人が無断転載の当事者ということになります。
無断転載
ここで一番の問題は,5人の所属先として「環境・安全性評価センター」とあることです。環境・安全性評価センターがどういう組織なのか,ライオン株式会社のサイト内のこのページで説明されていますが,その中に,

『環境・安全性評価センターでは、開発した製品をお客様に安心してお使いいただくために、ライオン製品とその原料について、「ひと」や「環境」に及ぼす影響を評価し、安全性の確保を行っています。 』

という記述があります。すなわち,環境・安全性評価センターは,ライオン製品の安全性に第一に係わっている組織だ,ということです。上に繰り返し記してあるように,環境・安全性評価センターは,無断転載を平然と行ったのみならず,それについての説明を求められても知らん顔を決め込んでいる,非常にモラルが低く,かつ卑怯で不誠実な組織であることは明白ですが,それにもまして,環境・安全性評価センターはでたらめや捏造がまかり通っている腐った組織である疑いが非常に高い,このことが一番の問題です。これはどういうことかといえば,安全性に第一に係わっている組織がこのようないわば「トンデモ集団」ならば,ライオン株式会社の製品の安全性は全く信用のおけるものではないということに他なりません。私は当然このことについてもライオン側に指摘し,環境・安全性評価センターの実態はどうなのか説明を求めましたが、これについても一切回答はありません。ライオン株式会社のような大企業であれば,もし何か消費者被害事件を起こしたら,被害は大規模になり,おびただしい数の被害者が出ることは避けられません。何も起こらないことを願うのみですが,非常に心配でなりません。最後に,ライオン株式会社の製品は買わない,使わない,このことを私は強く勧めたいと思います。


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